
子どもに動画を見せるのは、発達に悪いのか?
子どもがぐずったとき、ついスマホを渡してしまう。夕ごはんの準備をしているあいだ、テレビをつけておくと静かにしてくれる。どちらも、多くの家庭でよくある光景だと思います。
一方で、「スクリーンは発達に悪い」という話を聞くたびに、少し後ろめたい気持ちになる方も多いのではないでしょうか。でも実際のところ、研究ではどこまでわかっているのでしょうか。一律に「悪い」と言えるのか、それとも使い方しだいなのか。この記事では、近年の大規模な研究をもとに、スクリーンタイムと子どもの発達の関係を整理していきます。
まず結論
複数の研究で共通して見られるのは、小さいうちから長い時間スクリーンを見ていることと、言葉やコミュニケーション、考える力の発達がゆっくりになることとの関連です。特に1歳前後の時期の長時間の視聴で、こうした関連がはっきり出ています。
ただし、関連の大きさは一つひとつは小さく、「見せたら発達が遅れる」と原因まで言い切れる段階ではありません。また、問題になりやすいのは「見ている時間の長さ」だけではなく、つけっぱなしのテレビや、育児中の大人のスマホのように、親子のやりとりが減ってしまう使い方だということも見えてきました。逆に、親と一緒に見て話しかけるような使い方では、プラスの関連も見られています。
そもそも「スクリーンタイム」とは
スクリーンタイムとは、テレビやスマートフォン、タブレット、ゲーム機、パソコンなど、画面を見ている時間をまとめて呼ぶ言葉です。ひとくちにスクリーンタイムといっても、中身はかなり違います。子ども向けの番組を親と一緒に見る時間、ひとりでタブレットのアプリで遊ぶ時間、食事中に大人向けのテレビがついている時間。どれもスクリーンタイムに含まれますが、子どもへの影響が同じとは限りません。
また、祖父母とのビデオ通話も画面を使いますが、相手とやりとりができるので、研究や指針では別に扱われることが多いです。「スクリーンタイムが発達に悪い」という話を見かけたときは、それがどんな使い方の話なのかを意識して読むと、研究の意味がつかみやすくなると思います。
なぜここまで気にされるようになったのか
子どもとテレビの関係は、昔から議論されてきました。1999年には米国小児科学会(AAP)が、2歳未満の子どもにはテレビを見せないよう、親に呼びかける方針を出しています。
2000年代に入ると、アメリカでは赤ちゃん向けの「知育DVD」が大流行しました。ところが2007年、生後8〜16か月の赤ちゃんでは、赤ちゃん向けDVDを見る時間が長いほど語彙が少ない傾向がある、という研究が発表されます(Zimmermanら)。2009年には、代表的な赤ちゃん向けDVDの販売元が購入者への返金に応じるという出来事もあり、「赤ちゃんは映像から学べるのか」という疑問が広く知られるようになりました。
日本でも、2004年に日本小児科学会が「乳幼児のテレビ・ビデオ長時間視聴は危険です」という提言を出し、2歳以下の子どもにテレビやビデオを長時間見せないこと、つけっぱなしにしないこと、授乳中や食事中はテレビを消すことなどを呼びかけました。同じ年に日本小児科医会も「2歳までのテレビ・ビデオ視聴は控えましょう」という提言を出し、2014年には「スマホに子守りをさせないで!」というポスターで、スマホやタブレットへの注意を呼びかけています。
その後、スマホやタブレットが一気に広まり、画面は子どもにとってずっと身近なものになりました。今回紹介する東北の研究では、1歳の時点で1日1時間以上スクリーンを見ていた子どもが、全体の約半数にのぼっていました。こうした状況の中で、2019年にはWHO(世界保健機関)が、0歳と1歳ではスクリーンタイムをすすめず、2〜4歳は1日1時間まで(短いほどよい)とする指針を出しています。
米国小児科学会も2016年に、年齢ごとの目安(18か月未満はビデオ通話以外は避ける、18〜24か月は質の高い内容を親と一緒に、2〜5歳は1日1時間まで)を示しました。そして2026年には、この指針を新しいものに置き換えています。新しい指針では、時間を制限するだけでは不十分で、子どもを取り巻くデジタル環境や家庭での使い方をまとめて考えるべきだ、という方向に軸足が移りました。「赤ちゃんはデジタル機器から学ぶわけではないが、質の高い短い動画をときどき見る程度なら害はない」とも書かれています。
時間の長さだけでなく、どう使うかに目を向ける。研究の流れも、まさにその方向に進んできています。ここからは、その根拠になっている研究を見ていきます。
論文①:日本の1歳児約7,000人を追った研究
最初に紹介するのは、東北大学などの研究チームが行った、日本の大規模な追跡研究です(Takahashiら、2023年、JAMA Pediatrics誌)。宮城県と岩手県で妊娠中から参加した親子のうち、7,097組を対象にしています。
1歳のときに「普段の日に、テレビやDVD、ゲーム、スマホやタブレットなどを何時間見せているか」を親にたずね、2歳と4歳の時点で、発達の様子を5つの分野(コミュニケーション、粗大運動、微細運動、問題解決、個人・社会)について、親が答える質問票で調べました。ここでの「発達の遅れ」は、質問票の点数が基準より大きく低く、「くわしく確認したほうがよい」とされる状態のことで、診断ではありません。
その結果、1日1時間未満の子どもに比べて、スクリーンタイムが長いほど、2歳の時点でコミュニケーションの遅れが見られる割合が高くなっていました(オッズ比:1〜2時間で1.61、2〜4時間で2.04、4時間以上で4.78)。4時間以上の子どもでは、コミュニケーションの遅れが見られたのは14.8%で、1時間未満の子どもの3.5%を大きく上回っていました。問題解決の分野でも、4時間以上の子どもで遅れが見られる割合が高くなっていました(2歳で2.67)。
4歳の時点でも、コミュニケーションでは2時間以上(2〜4時間で1.64、4時間以上で2.68)、問題解決では4時間以上(1.91)で関連が残っていました。一方、1〜2時間のグループの関連は、4歳では見られなくなっていました。体を大きく動かす力(粗大運動)とは、どの年齢でも関連は見られませんでした。
この研究の結果からは、スクリーンタイムとの関連が、体の動きよりも、言葉や考える力の分野に出やすいことがうかがえます。また、1〜2時間程度の関連は4歳までに見られなくなっていたので、「少しでも見せたら取り返しがつかない」というものではなさそうです。
一方で、注意したい点もあります。これは観察研究なので、スクリーンが発達を遅らせた、という原因と結果までは言えません。研究チームは、親の年齢や学歴、収入、産後うつなどの影響を考慮して分析していますが、それでも考慮しきれない要因が残る可能性はあります。また、見ていた番組の内容はわかっていません。4時間以上のグループは全体の4.1%と少数なので、数字のばらつきも大きめです。
論文②:言葉の発達との関係をまとめたメタ分析
次に紹介するのは、スクリーンと言葉の発達の関係を調べた研究を集めて、まとめて分析したメタ分析です(Madiganら、2020年、JAMA Pediatrics誌)。42本の研究、合計18,905人のデータが含まれていて、対象の子どもは主に就学前の幼児でした。
その結果、スクリーンを見る時間が長いほど、言葉の力が低い傾向がありました(相関係数r=−0.14)。家の中でテレビがついている状態(背景テレビ)も、言葉の力が低いことと関連していました(r=−0.19)。
一方で、親が一緒に見ていること(共同視聴)は、言葉の力が高いことと関連していました(r=0.16)。教育的な番組を見ていることも、言葉の力の高さと関連していました(r=0.13)。また、スクリーンを見始めた年齢が遅いほど、言葉の力が高い傾向も見られています(ただし4本の研究のみ)。
相関係数0.14というのは、関連としては小さめです。研究者たちも、子どもの言葉の発達はさまざまな要因で決まるもので、スクリーンはそのひとつにすぎないとしています。ただ、スクリーンはほとんどの家庭に関わるものなので、小さな関連でも社会全体で見ると無視できない、とも述べています。背景テレビの数字は少し大きめですが、もとになった研究が5本と少なく、まだはっきりしたことは言えません。
この分析に含まれた研究の多くは、スマホやタブレットが広まる前のもので、テレビが中心でした。また、すべての研究でスクリーンタイムは親の回答によるもので、関連は示せても、原因と結果まではわかりません。
論文③:つけっぱなしテレビと、育児中のスマホ
「子どもに直接見せているわけではないから大丈夫」と思っている方も多いかもしれません。そこで紹介したいのが、つけっぱなしのテレビが親子のやりとりにどう影響するかを、実験で調べた研究です(Kirkorianら、2009年、Child Development誌)。
1歳・2歳・3歳の子どもと親51組に、実験室で1時間自由に遊んでもらいました。そのうち30分は、親が選んだ大人向けのテレビ番組(ドラマやクイズ番組など)を部屋で流し、残りの30分はテレビを消しておきます。子どもはテレビを見せられているわけではなく、おもちゃで遊んでいる状態です。
その結果、テレビがついていると、親が子どもに話しかけていた時間の割合は68%から54%に下がりました。親が子どもの遊びに積極的に加わる時間は約3分の1減り、子どもからの問いかけに親が応える割合も87%から79%に下がりました。子どもが親に向けて話す行動も、テレビがついているときは約2割少なくなっていました。
テレビは、子どもにとってはただの背景の音でも、親にとってはつい気になってしまうものです。親の注意がテレビに向くと、子どもとのやりとりが減り、子どものほうも話しかけることが減っていく。そういう流れが見えてきます。ただし、これは実験室での1回だけの観察で、参加者の多くは高い学歴を持つ白人の家庭でした。子どもの発達そのものを測ったわけではないことにも注意が必要です。
この点は、2024年に発表された、さらに大規模なメタ分析でも確かめられています(Mallawaarachchiら、2024年、JAMA Pediatrics誌)。0〜5歳の子どもを対象にした100本の研究、合計176,742人のデータをもとに、スクリーンの「使われ方」と発達の関係を調べたものです。
その結果、背景テレビは、子どもの認知の発達が低いことと関連していました(r=−0.10)。また、食事や遊びなど、子どもと関わる場面で大人がスマホなどを使っていることは、子どもの社会性や情緒の発達が低いことと関連していました(r=−0.11)。一方で、親やきょうだいと一緒にスクリーンを使うことは、認知の発達が高いことと関連していました(r=0.14)。
研究者たちも、関連の大きさはどれも小さいこと、もとになった研究の多くが一時点での調査で、偏りのリスクが高いものも多いことを認めています。それでも、時間を制限することだけでなく、つけっぱなしをやめる、子どもと関わるときは大人もスマホを置く、一緒に見る、といった「使い方」に目を向けることを提案しています。
論文④:乳児期のスクリーンと脳波、9歳の考える力
最後に紹介するのは、シンガポールで行われた長期の追跡研究です(Lawら、2023年、JAMA Pediatrics誌)。乳児期のスクリーンタイムと、脳の働き、その後の考える力の関係を調べています。
1歳のときのスクリーンタイムを親にたずね、9歳の時点で437人の子どもの「実行機能」を調べました。実行機能とは、衝動を抑える力、考えを切り替える力、情報を頭にとどめて使う力(作業記憶)など、目標に向かって自分をコントロールする力のことです。そのうち約150人には、1歳半の時点で脳波の測定も行っています。
その結果、1歳のときのスクリーンタイムが1日1時間長いごとに、9歳での実行機能の課題の点数が0.30〜0.56点低いという関連が見られました(平均10点、標準偏差3点の尺度)。また、スクリーンタイムが長い子どもほど、1歳半の脳波で、注意のコントロールのしにくさと関連するとされるパターン(シータ波とベータ波の比)が高くなっていて、この脳波の違いが、スクリーンタイムと9歳の実行機能の関連の約4割を統計的に説明していました。
研究者たちは、小さい子どもは平面の画面から情報を理解することが苦手で、画面の動きや音に注意が引っ張られる一方、自分で注意をコントロールする力を使う機会が少なくなるのではないか、と考えています。ただし、これは仮説の段階です。
また、研究者自身が、スクリーンタイムは家庭の環境や親子のやりとりの質を映す「目印」になっている可能性があると書いていて、因果関係を証明したものではないとしています。脳波を測ったのは約150人と少なく、脳波は先生が評価した注意や行動の問題とは関連していませんでした。1時間あたりの差も、標準偏差3点に対して0.3〜0.6点と、一人ひとりで見れば小さなものです。脳波という客観的な指標で関連が見られたことは興味深いですが、受け止め方には慎重さが必要だと思います。
使い方しだいでプラスになる面もある?
ここまでリスクを中心に見てきましたが、研究は「すべてのスクリーンが同じように悪い」とは言っていません。
63本の研究をまとめたJingら(2023年、Child Development誌)のメタ分析では、研究者が言葉を教えるために作った動画や電子絵本を使った実験で、子どもがその言葉を覚えられることが示されています。特に電子絵本は効果が比較的大きく出ていました。ただし、こうした実験は「教えた言葉を覚えたか」を見ているもので、日常のふつうの視聴と語彙の関係を見た研究では、はっきりした関連は見られませんでした。年齢による違いもあり、3歳未満の子どもでは、3歳以上より効果が小さめでした。
また、米国小児科学会の2016年の報告書では、1〜2歳の子どもが動画から新しい言葉を学べるのは、親が一緒に見て、その言葉を教え直したときに限られる、とまとめられています。赤ちゃん向けの言葉の動画を調べた実験でも、動画を見せただけでは言葉は増えず、いちばん言葉を覚えたのは、動画を使わずに親が教えたグループでした(DeLoacheら、2010年)。
つまり、スクリーンがプラスに働くとしたら、それは年齢に合った質の高い内容を、親が一緒に見て話しかけるといった条件がそろったときだと考えられます。毎日の忙しい育児で、毎回その条件をそろえるのは簡単ではありません。「教育番組だから見せておけば大丈夫」とまでは言えない、というのが正直なところだと思います。
研究をまとめて考えると
ここまでの研究をまとめると、いくつかのことが見えてきます。
まず、乳幼児期の長時間のスクリーンタイムと、言葉や考える力の発達には、国や研究方法が違っても同じ向きの関連が見られます。一方で、関連の大きさは一つひとつは小さく、どの研究も、スクリーンが原因だと証明したものではありません。スクリーンを長く見ている家庭では、親が忙しかったり、ストレスを抱えていたりと、ほかの事情が重なっていることもあります。
次に、小さい子どもほど関連が出やすい理由として、いくつかの説明が考えられています。小さい子どもは画面から学ぶことが苦手なこと。スクリーンを見ている時間が、話しかけや絵本、遊びの時間を置き換えてしまうこと。そして、つけっぱなしのテレビや大人のスマホが、親子のやりとりそのものを減らしてしまうことです。関連が体の動きより言葉や考える力に出やすいことも、「やりとりが減る」という説明と矛盾しません。
そして、問題は時間の長さだけではなく、使い方にもあります。米国小児科学会の新しい指針が、時間の制限から家庭での使い方全体へと軸を移したのも、こうした研究の積み重ねを受けたものだと思います。見せるか見せないかの二択ではなく、どんな場面で、どんなふうに使うかを考えることが大切なのだと思います。
日常でできること:論文から導き出せる実践
研究をもとに、毎日の生活で取り入れやすいことをまとめます。全部を完璧にやる必要はありません。できそうなものから試してみてください。
① 2歳ごろまでは、なるべく見せる時間を短く(ビデオ通話は別)
WHOや日本の小児科の団体は、2歳ごろまではスクリーンを控えるようすすめています。日本の研究でも、1歳のときの長いスクリーンタイムと、その後の言葉の発達の関連が見られました。この時期は、人とのやりとりや体を使った遊びから学ぶことが多いので、画面よりそちらの時間を大切にできるといいと思います。
② テレビのつけっぱなしをやめる
子どもが見ていなくても、テレビがついているだけで親子の会話は減ります。食事中や遊んでいるとき、授乳中は、テレビを消しておくだけでも、やりとりの時間を取り戻せます。日本小児科学会の提言でも、つけっぱなしにしないことや、授乳中・食事中はテレビを消すことが呼びかけられています。
③ 子どもと関わるときは、大人もスマホを置く
食事や遊びの場面で大人がスマホを見ていることは、子どもの社会性や情緒の発達と関連していました。ずっと手放すのは難しくても、子どもと向き合う時間だけは画面から離れる、と決めておくのは現実的な方法だと思います。
④ 見せるときは、一緒に見て話しかける
一緒に見ることは、言葉や認知の発達のプラスの関連と結びついていました。「わんわんが出てきたね」「何してるのかな」と声をかけるだけで、ただ見ているだけの時間が、やりとりのある時間に変わります。
⑤ 内容と年齢が合っているかを確認する
年齢に合わない内容は、子どもの社会性や情緒の発達が低いことと関連していました。小さい子どもには、テンポがゆっくりで、内容がわかりやすい子ども向けのものを選ぶと安心です。
⑥ 2歳以降は「1日1時間まで」を目安に、代わりの遊びも大切に
時間を減らすことと同じくらい、その代わりに何をするかも大切です。外遊び、絵本、積み木やままごとなど、画面では代わりにならない遊びの時間を少しずつ増やしていけるといいと思います。
我が家ではどうしていたか
実は、我が家でも娘に動画を見せています。合計すると、1日1時間くらいだと思います。
見せるのは、外出先で泣き叫んでしまったときや、家でご飯を食べずに暴れてしまうときなどです。動画を見せると落ち着くので、その場をしのぐために一時的に使っています。普段はテレビをあまりつけないのですが、食事中はそういう理由で、逆につけてしまうこともあります。
スマホは基本的に娘には見せず、使うのは一緒に写真を撮ったり、一緒に音楽を聴いたりするときくらいです。祖父母とは週に1回くらいビデオ通話をしています。ビデオ通話は相手とやりとりができるので、研究や指針でもふつうの動画とは分けて考えられています。
今いちばん悩んでいるのは、泣き止まないときや食事のときに、動画に頼ってしまう瞬間があることです。食事中の動画は、そのあいだの親子のやりとりを減らしてしまいやすいので、我が家の悩みどころと重なります。一方で、日本の研究では、1日1〜2時間のグループのコミュニケーションとの関連は4歳までに見られなくなっていて、関連がはっきりしていたのはもっと長い時間でした。もちろん集団の傾向の話ですが、「見せてしまった」と自分を責めすぎるより、つけっぱなしにしない、見せるときはなるべく一緒に見て声をかける、といったところから少しずつ見直していけたらいいのかなと思っています。
同じように、どうしても動画に頼ってしまう場面がある方も多いと思います。完璧を目指すより、できるところから少しずつ、でいいのかもしれませんね。
まとめ:科学的に言えること、まだ言えないこと
科学的に言えること
乳幼児期、特に1歳前後の長時間のスクリーンタイムは、言葉やコミュニケーション、問題解決、実行機能といった分野の発達がゆっくりなことと関連していることが、日本を含む複数の国の大規模な研究やメタ分析で示されています。日本の約7,000人の研究では、1歳で1日4時間以上見ていた子どもで、2歳時点のコミュニケーションの遅れが見られる割合が大きく高くなっていました。また、つけっぱなしのテレビや、育児中の大人のスマホの使用も、親子のやりとりを減らすことを通じて、子どもの発達と関連している可能性があります。一方、親と一緒に見ることは、プラスの関連と結びついていました。
科学的にまだ言えないこと
多くの研究は関連を示したもので、スクリーンが発達の遅れの原因だとまでは言えません。スクリーンタイムが長い家庭には、ほかの事情が重なっている可能性もあります。関連の大きさも、一つひとつは小さなものです。また、多くの研究でスクリーンタイムは親の回答によるもので、見ていた内容まではわかっていないことが多く、スマホやタブレット、動画配信サービスに絞った長期の研究もまだ積み重なっている途中です。
「スクリーンを一切見せてはいけない」という極端な話ではなく、小さいうちほど長時間の使用やつけっぱなしには気をつけて、見せるときは一緒に楽しむ。そのくらいの距離感が、今の研究から考えて現実的な付き合い方なのだと思います。
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