
睡眠を削って育児や家事を「頑張る」のは、子どものためになるのか?
夜中に何度も起こされて、まとまって眠れない日が続く。それでも朝が来れば、洗濯物をたたんで、離乳食をつくって、自分のことは後回しにして一日を回していく。「自分さえ我慢すれば家のことは回るし、子どもにもちゃんと向き合える」と思って、つい睡眠をいちばんに削ってしまう方は多いのではないでしょうか。
睡眠を削って家事や育児を頑張るのは、とても献身的なことです。ただ、親の睡眠不足は本当に我慢でカバーできるものなのでしょうか。削った睡眠のしわ寄せが、めぐりめぐって子どもに届いてしまうことはないのでしょうか。
この記事では、この疑問について近年の研究を見ていきます。
まず結論
先に結論をお伝えすると、複数の研究から、親の睡眠の乱れは、子どもへの関わり(育児の質)を下げる方向に働くことがくり返し示されています。睡眠を削って家事や育児の量を増やしても、関わりの質を支えるどころか、かえって土台を弱めてしまうかもしれません。
研究からわかってきたポイントは、次の3つです。
関係していたのは、「よく眠れていない」という自分の感覚ではなく、実際にどれだけ眠りが細切れになっているか
眠った合計時間よりも、夜中に何度も目が覚めることや、寝る時刻のばらつきが問題
影響がいちばん出やすいのは、一日の終わりの寝かしつけ
大前提として、「眠れていない=ダメな親」という話ではまったくありません。むしろここから言えるのは、自分の睡眠を守ることは、わがままでも手抜きでもなく、子どもへの関わりを支えることにつながる、ということです。順番に見ていきましょう。
なぜ親の睡眠はこれほど乱れるのか
赤ちゃんは夜に一度以上目を覚ますのが普通なので、そのお世話で親の睡眠も途切れます。同じ人を時間をかけて追いかけた研究(縦断研究)によると、産後の母親は、睡眠の長さ自体はそれほど減らないのに、夜中に何度も目を覚まして眠りが細切れになることがわかっています。合計では眠れていても、ぶつ切りになってしまう、という状態です。
この「眠りがどれだけ途切れずに続くか」を、専門的には睡眠の連続性と呼びます。連続性がいい=まとまって眠れている、連続性が悪い=細切れ、と思ってください(具体的には、「寝ついてから朝までに目覚めていた合計時間」や「目を覚ました回数」で測ります)。連続性は産後数か月でいったん回復に向かいますが、夜泣きは乳幼児の2〜3割に見られ、生後数か月を過ぎても眠りが乱れ続ける親は少なくありません。
眠りを乱すのは、子どもだけではありません。「家庭内のカオス(混乱)」に注目した、Whitesellら(2018年、Journal of Family Psychology誌)の研究があります。カオスとは、家の中が散らかっていて、決まった生活のリズムや習慣が保ちにくい状態のことです。研究チームは生後1年のあいだ、167家族のカオスの度合いを観察で評価し、両親と赤ちゃんの睡眠を、手首につける活動量計(アクチグラフ)で客観的に測りました。
その結果、カオスの度合いが高い家庭ほど、赤ちゃんの睡眠は細切れで不安定になりやすく、母親と父親も夜ごとの睡眠時間のばらつきが大きくなっていました。親の睡眠の乱れは、個人の頑張りが足りないからではなく、家全体の状態とつながっているということです。
研究者たちは、ここに悪循環の可能性を見ています。生活のリズムが整わない家庭では親自身の眠りも乱れ、気持ちや行動を整える力が削られる。すると、変わっていく子どもの睡眠リズムにうまく合わせてあげられず、家族全員の睡眠がさらに崩れていく、というものです。だからこそ、睡眠を立て直す入口は「もっと頑張ること」ではなく、家庭に小さな「いつもの流れ」を取り戻すことのほうにあると考えられます。
なぜ「睡眠を削ってでも頑張る」が美徳とされてきたのか
ここで、私たちがなぜ自分の睡眠を後回しにしてしまうのかを考えてみたいと思います。これは知識が足りないからでも、意志が弱いからでもありません。
WHO(世界保健機関)が2022年にまとめた産後ケアの勧告では、女性たちの声を聞き取った調査をもとに、こんな指摘がされています。多くの女性が産後に、母親になっていく時期の長く続く疲れを経験していて、とくに初めての母親では、その疲れが「いわゆる『良い母親』に近づけているか」という不安や、新しい役割へのプレッシャーでさらに重くなる、というのです。
「眠れなくても、家のことも子どものこともきちんとこなすのが当たり前」という空気は、社会で共有された期待として、私たちの中に深く根を張っています。睡眠を削ることが「努力」として正当化されやすいのには、それなりの背景があるのだと思います。
けれども同じWHOの勧告では、産後の女性に必要なものとして「回復と休息の機会」を挙げ、家族や仲間、専門職からの、実際的な面と気持ちの面の両方の支えが大切だと書かれています。理想の母親像のために眠りを削るより、休息をとることのほうが、本来すすめられている方向なのです。
では、なぜそう言えるのか。ここからは、関わりの質を実際に測った2つの研究を見ていきます。
論文①:母親の睡眠と、遊びの中での関わりを調べた研究
1本目は、Kingら(2020年)の研究です。
対象は、産後18週の母親と赤ちゃん67組です。研究者は自宅で10分間の「自由遊び」の様子を記録し、母親の感受性、つまり子どものサイン(表情やぐずりなど)を正しく読み取って、ちょうどよく応える力を、2分ごとに区切って採点しました。区切って測ることで、関わりの丁寧さが時間とともにどう変わるかを追えるようにしたのがこの研究の工夫です。母親の睡眠は、活動量計による客観的な測定と、睡眠日誌による自己記録の両方で調べています。
その結果、睡眠が悪い母親の平均点が全体的に低かったわけではありませんでした。違いが出たのは点数の変わり方で、眠りが細切れな母親ほど、遊びが進むにつれて感受性が少しずつ下がっていったのです。よく眠れている母親では、感受性は最後まで落ちませんでした。
この研究では、具体的な目安も示されています。母親が一晩のうちに寝ついたあと合計52分以上目を覚ましていた場合、あるいは夜中に17回以上目を覚ましていた場合に、感受性の低下がはっきり見られました。これは特別に重い不眠の話ではなく、対象の母親の約53%が「52分以上」に、約58%が「17回以上」に当てはまっていました。よくある細切れの夜でも起こりうる、ということです。
また、「よく眠れていない」という母親自身の感覚や、眠った時間の長さは、感受性とは関係していませんでした。関係していたのは、あくまで機械で測った実際の細切れ具合です。冒頭のポイント1つめは、この結果からきています。
「後になるほど感受性が落ちる」という形にも意味があります。観察の最初の数分なら、誰でも多少は気を張って丁寧に関われますよね。でも、毎日の育児は10分どころか一日中続きます。研究者たちは、関わりの後半のほうが、誰にも見られていない普段のやりとりに近いかもしれないと指摘しています。最初にできていたかどうかより、丁寧な関わりをどれだけ続けられるかのほうが、子どもが毎日受け取っている関わりに近い、というわけです。眠りのまとまりは、この「続ける力」を支えていたのかもしれません。
なお、研究者自身も書いているとおり、ここで見られた差は小さいものでした。眠りのまとまりは、関わりの質を左右するたくさんの要因のひとつにすぎません。それでも、よくある細切れの睡眠が、関わりを続ける力という見えにくい部分に影響している可能性を示した研究です。
論文②:母親の睡眠と寝かしつけ、愛着の関係を追った研究
2本目は、Baiら(2022年)の縦断研究です。Kingの研究がその場の関わりを見たのに対し、こちらはもっと長い期間で、子どもの愛着まで追いかけました。ここでいう愛着とは、子どもが親を安心して頼れる存在として感じられているか、という親子の気持ちのつながりのことです。
153組の母子を対象に、生後1・3・6・9・12か月の時点で、母親の睡眠を活動量計と睡眠日誌で測りました。同時に、母親の情緒的応答性(子どものサインを理解して適切に応える力で、感受性とほぼ同じ考え方です)を、「日中の自由遊び」と「夜の寝かしつけ」という2つの場面で、別々に観察しています。さらに12か月と18か月の時点で、家庭での自然な様子を観察して、子どもの母親への愛着の安定度を評価しました。
その結果、睡眠のばらつきが大きく、眠りの質がよくない母親ほど、夜の寝かしつけでの応答性が低く、それが2年目(1〜1歳半ごろ)の愛着の安定度の低さにつながるという流れが確認されました。
ここで使われているのが「媒介」という考え方です。難しく聞こえますが、「AがBを通じてCに影響する」という関係のことで、今回なら「睡眠の乱れ(A)が、寝かしつけでの応答の低下(B)を通じて、愛着の不安定さ(C)につながる」という形です。睡眠がいきなり親子のつながりを弱めるのではなく、寝かしつけでの関わりをはさんで影響していた、ということです。
この研究でもうひとつ大事なのが、場面による違いです。母親の睡眠の乱れは、日中の自由遊びでの応答性にはあまり影響していませんでした。影響が出ていたのは、夜の寝かしつけでした。研究者たちは、寝かしつけが一日の終わりにあること、しかも興奮した子どもを落ち着かせるという難しい関わりであることを理由に挙げています。眠れていない親ほど、疲れがいちばんたまる夜に消耗しやすい、というわけです。また、寝る時刻が遅いことは、応答性を通さずに、愛着の安定度の低さと直接つながっていました。
眠れない夜は、その夜の寝かしつけの関わりを変え、それが積み重なって親子の関係にまで影響しうる、という道筋が見えてきます。この研究は睡眠を主観と客観の両面から、いくつもの側面に分けて測っているのが強みです。さらに研究者たちは、「関わりの質のほうが睡眠を変えている」という逆向きの可能性も検討しましたが、そちらでは同じような関係は見られませんでした。「眠りの乱れ→関わり→愛着」という向きを完全に証明したわけではありませんが、その道筋がある程度確からしいことを裏付けています。ただ、対象が主に白人の家庭であることや、父親のデータが少ないことは、研究者自身が認めている限界です。
なぜ「眠りのまとまり」が関わりを左右するのか
では、なぜ眠りのまとまりが、関わりの質にここまで影響するのでしょうか。研究者たちは主に2つの仕組みを挙げています。
ひとつは実行機能への影響です。実行機能とは、ざっくり言えば脳の「司令塔」の働きで、やろうとしていることを覚えておく、必要なことに注意を向ける、衝動を抑える、といった力をまとめた言葉です。子どもの細かいサインを読み取って、自分の対応を見失わずに応えるには、この司令塔が欠かせません。睡眠が細切れになると、この働きや注意を続ける力が落ちることがわかっています。単調な作業でも、同じことにずっと注意を向け続けるのは難しく、時間とともに集中が落ちていくことが知られていて、Kingの研究で感受性が後半に落ちたこととも重なります。
もうひとつは気分への影響です。睡眠の乱れはイライラや落ち込みにつながりやすく、それが子どもへの温かい関わりを減らす方向に働くと考えられています。
そもそも、関わりの質がなぜそんなに大事なのでしょうか。その裏付けのひとつが、赤ちゃんと大人のやりとりと脳の発達の関係を、55本の研究から整理したIlykaら(2021年)の系統的レビューです。調べられた親の行動のうち最も多く取り上げられていたのが「母親の感受性」で、感受性をはじめとする関わりの質が、子どもの脳の構造や働きの違いと関連していることが示されています。生後早い時期に見られた関わりが、数か月後、なかには大人になってからの脳の指標と関連していた例も報告されています。
ただ、これは「親しだいで脳が決まる」という話ではありません。レビュー自身も、関連はおおむね小さく、一貫しない部分もあること、生まれつきの個人差も関わることを断っています。それでも、毎日の関わりの質が、子どもの育ちにとって意味のある材料のひとつであることは支持されていて、だからこそ、その質を支える親の睡眠も軽く見ることはできないのです。
安全面の注意:うっかり寝落ちのリスク
関わりの質とは別に、睡眠不足にはもうひとつ、直接的なリスクがあります。親が意図せず眠り込んでしまうことです。
これを調べたのが、Doeringら(2019年)の調査です。375人の親に聞いたところ、子どもが2歳になる前に添い寝を経験した親のうち、44%が意図しない添い寝(うっかり寝落ち)を経験していました。問題はその場所で、夜のベッドだけでなく、昼寝中のソファや椅子で44%、夜のソファや椅子で19%起きていました。ソファや椅子での添い寝は、赤ちゃんにとって特に危険な環境です。きっかけとして最も多かったのは授乳中の寝落ち(40%)で、次が疲れ果ててしまったこと(23%)でした。
WHOの勧告でも、SIDS(乳幼児突然死症候群:健康に見える赤ちゃんが睡眠中に突然亡くなってしまうこと)を防ぐために、生後1年は赤ちゃんを仰向けで寝かせることがすすめられ、添い寝はリスク要因のひとつに挙げられています。
睡眠不足の親が「気合いで起きていよう」とするほど、かえって不意の寝落ちが起きやすく、危ない場所での添い寝につながりかねません。我慢で乗り切ろうとする発想が裏目に出やすい、いちばんわかりやすい例だと思います。
日常でできること:論文から導き出せる実践
ここまでをふまえて、研究が示す範囲で、家庭でできることを整理します。どれも「眠りのまとまりと、生活リズムの規則性を守る」ことにつながるものです。ただ、これは「やらないと子どもに悪い」という義務のリストではありません。できる日もできない日もあって当然なので、余裕のあるときにひとつでも試せたら十分、くらいの気持ちで読んでください。
① 「合計で何時間寝たか」より「まとめて眠れたか」を大事にする
研究では、眠った合計時間よりも、夜中にどれだけ途切れたかのほうが、子どもへの関わりと関係していました。なので、「もっと長く寝なきゃ」と焦るより、「一回でいいから、起こされずにまとめて眠る」を目指すほうが現実的です。たとえば、夜中の授乳やおむつ替えをパートナーと交代制にして、「夜の最初の3時間はお願い」「明け方はこっちが見るね」と分ける。実家や使えるサービスがあれば、週末の昼に2〜3時間だけでも預けて、その間に眠る。細切れの睡眠を、一回だけでもかたまりにするイメージです。
② 寝る時間を「だいたい同じ」にする
Baiらの研究では、寝る時刻のばらつきが大きかったり、寝るのが遅かったりするほど、夜の関わりや親子の関係に影響しやすいことがわかりました。といっても、分刻みで守る必要はまったくありません。「平日はだいたい23時には布団に入る」くらいのゆるい目安で十分です。寝る時間がだいたい決まっていると、体のリズムも整いやすいと言われています。
③ 寝かしつけの前に、自分の元気を残しておく
親の睡眠不足がいちばん表に出やすいのは、一日の終わりの寝かしつけでした。逆に言えば、夜にクタクタになりすぎないだけでも、寝かしつけは少しラクになるかもしれません。たとえば、夕方以降の家事は思いきって減らして、「食器は朝洗う」「洗濯物は明日たたむ」でもいいと思います。寝かしつけの前に、5分でいいので座って一息つく。完璧な夜より、自分に少し余裕のある夜のほうが、子どもにもやさしくできるはずです。
④ 寝る前だけは「いつもの流れ」をつくる
家じゅうをきれいに片づける必要はありません。でも、「お風呂→歯みがき→絵本→電気を消す」のように、寝る前の流れだけでも毎日ほぼ同じにすると、子どもも親も気持ちが切り替わりやすくなります。バタバタした家庭ほど家族みんなの睡眠が乱れやすい、という研究もありました。完璧な片づけではなく、「夜のいつもの順番」という小さな安心をつくる、くらいに考えてみてください。
⑤ うっかり寝落ちしそうなときの逃げ道を用意しておく
眠気が限界のときにいちばん危ないのが、意図しない寝落ちです。特にソファや椅子で赤ちゃんと一緒に寝てしまうのは、事故につながりやすい状況です。眠くて仕方ないときは、ソファや椅子で授乳やお世話をしない。どうしても眠いときは、スマホのタイマーを15〜20分でセットしておく。パートナーがいるなら、「ごめん、限界。10分だけ代わって」と言える関係をつくっておく。そして寝かしつけたあとは、赤ちゃんを必ず仰向けで寝かせる。これだけでも防げる事故があります。
⑥ 人に頼ることを、ズルではなく作戦だと考える
WHOも、産後の親には「休む機会」と「周りの支え」が必要だとはっきり書いています。眠るために誰かに頼るのは、頑張りを投げ出すことではなく、子どもにやさしく接するための準備です。「少し休みたいから見ていて」とパートナーに言う。親や友人に「30分だけお願い」と頼む。家事の手を抜く。どれも、めぐりめぐって子どもへの関わりを良くする、立派な育児の一部です。家事を完璧にこなすより、自分が少し眠るほうが子どものためになる日もあると思います。
我が家ではどうしていたか
我が家は生後半年くらいまで母乳で育てていたので、夜中は授乳のために私が何度も起きていました。授乳以外のお世話は、夫が育休をとっていた間は夫が担当してくれていましたが、それでも夫婦ともに睡眠はかなり途切れ途切れで、今振り返ると、慢性的な睡眠不足だったなと感じます。合計の睡眠時間よりも、まとまって眠れない状態が続いていたので、この記事で紹介した「眠りの細切れ」が、そのまま当てはまっていたのかもしれません。
いちばん大変だったのは、生後1〜2か月のころです。初めての子どもということもあって夫婦ともに一日中気が張っていましたし、母乳もなかなか思うように出ず、娘も思うように寝てくれませんでした。
家事も、意識して手を抜いていたというより、純粋に回っていなかったというのが実際のところです。強いて言えば、「家事は完璧にやらなくてもいい」と考えるようにしていました。実家やサービスに頼ることは特にありませんでしたが、実家を頼れない方は特に大変だと思うので、無理をしないでほしいなと思います。
研究を読んでからは、夫婦ともに、寝ることがめぐりめぐって子どものためにも大事なんだと思うようになり、意識して眠るようにしました。眠ることに後ろめたさを感じている方も、自分の睡眠を少し優先してみてもいいのかもしれませんね。
まとめ:科学的に言えること、まだ言えないこと
最後に、わかっていることとわかっていないことを分けて整理します。
科学的に言えること
親の睡眠の乱れ、とくに眠りが細切れであること、睡眠時間のばらつきが大きいこと、寝るのが遅いことは、子どもへの関わりの質と結びついています。その影響は一日の終わりの寝かしつけの場面で最も出やすく、長い目で見ると親子の愛着とも関連しうることが、縦断研究で示されました。関わりの質(感受性)は、子どもの育ちにとって意味のある材料のひとつでもあります。これらをまとめると、睡眠を削って家事や育児の量を増やすことは、関わりの質という大切な土台を弱めかねず、あまりおすすめできない、と言えます。
科学的にまだ言えないこと
ここで紹介した研究の多くは、「2つのことが同時に起きていた」という関係(相関)を見たものです。「眠れないことが原因で関わりが下がった」と、原因と結果まで言い切ることはできません。たとえばストレスのような別の要因が、睡眠と関わりの両方に影響している可能性もあります。また、見つかった差はおおむね小さく、対象も白人、高所得、もともと不眠のある母親などに偏っていて、父親のデータは限られています。日本の一般的な家庭にそのまま当てはめるには、注意が必要です。
それでも、ここから受け取れるメッセージは、少しだけ私たちを楽にしてくれるものだと思います。睡眠を削って「もっと頑張る」ことが、必ずしも子どものためになるとは限りません。むしろ、眠りのまとまりと生活リズムを守り、ときには助けを借りて休むことが、子どもへの関わりを支える土台になるのかもしれません。自分の睡眠を大切にすることは、わがままではなく、育児の一部なのだと思います。
なお、強い不眠や気分の落ち込みが続く場合は、ひとりで抱え込まず、医療機関や地域の保健の窓口など、専門家に相談してみてください。
参考文献
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