
ミルクが1日200ml減ると、何がどれだけ減る? 離乳食に置き換えて計算しました
離乳食が3回食になるころから、ミルクの量は少しずつ減っていきます。ミルクの缶や袋に書いてある調乳の目安でも、このころの1回分は200mlくらいです。離乳食のあとのミルクを飲まなくなったり、1回の量が減ったりして、1日のミルクが600mlから400mlへ、400mlから200mlへと減っていく家庭が多いのではないでしょうか。
粉ミルクは、赤ちゃんに必要な栄養がひととおりとれるように作られています。ですから、ミルクが200ml減ると、エネルギーだけでなく、鉄やカルシウムなども一緒に減ります。その分は、離乳食でとれているのでしょうか。
今回は、国内で売られている粉ミルク7品の栄養成分表示と、食品ごとの栄養の量を一覧にした国の資料(日本食品標準成分表)を使って、「ミルクが1日200ml減ったら、何がどれだけ減って、それは食材でいうとどれくらいなのか」を計算しました。
ミルク200mlには、何がどれだけ入っている?
まず、ミルク200mlの中身を、9〜11か月の赤ちゃんが1日にとりたい量と比べてみます。1日にとりたい量には、国が年齢ごとに示している目安(日本人の食事摂取基準)の値を使いました。

エネルギーは1日の2割ほどですが、鉄、カルシウム、ビタミンD、亜鉛は、どれも4割近くあります。ミルクが200ml減るというのは、エネルギーでいえば1日の2割、鉄やカルシウムでいえば4割近くが、いっぺんに減るということです。
エネルギーは、おかゆや軟飯を食べる量が増えればついてきます。一方で、鉄やカルシウム、ビタミンD、亜鉛は、食べる量が増えても、食材によって増えたり増えなかったりします。この記事では、この4つを中心に見ていきます。
減った200ml分を、食材に置き換えると
では、ミルク200ml分の鉄やカルシウムは、食材でいうとどれくらいの量なのでしょうか。9〜11か月の子が1食で食べるくらいの量を単位にして、置き換えてみました(表1)。
| ミルク200ml分の | 同じ量をとるには |
|---|---|
| カルシウム | ヨーグルト 小さいカップ1個(80g) |
| ビタミンD | しらす干し 大さじ2〜3(15g)。鮭なら ひと口(5g) |
| 亜鉛 | 牛の赤身の薄切り 1枚(15g) |
| 鉄 | 納豆 1パック(40〜50g)。牛の赤身なら薄切り4枚(60g)、卵黄なら2個。白身魚だと切り身10切れ分(800g) |
| エネルギー | 全がゆ 子ども茶碗に2杯ほど(200g) |
カルシウム、ビタミンD、亜鉛は、どれもふだんの1食分くらいの量で、ミルク200ml分になりました。鉄だけは、同じ牛の赤身でも薄切り4枚、白身魚では切り身10切れ分と、量が要ります。鉄は、多く含む食材を選ばないと追いつかない、というのが表1から見えることです。
ふだんの離乳食だけで、どこまでとれる?
次に、ミルクを除いた離乳食だけで、1日にとりたい量のどれくらいがとれるのかを計算しました。献立は、次のような1日です。量は、国の離乳食の手引き(授乳・離乳の支援ガイド)にある、9〜11か月の1食あたりの目安に合わせています。
朝:全がゆ 子ども茶碗に軽く1杯(90g)、にんじんとかぼちゃ 合わせて大さじ2ほど(35g)、絹ごし豆腐 小さいパックの3分の1(45g)
昼:全がゆ 軽く1杯(90g)、キャベツとトマト 大さじ2ほど(35g)、真鯛 刺身1切れほど(15g)
夕:軟飯 軽く1杯(80g)、ブロッコリーとたまねぎ 大さじ2ほど(35g)、ささみ 3分の1本(15g)
おかゆ、野菜、豆腐、白身魚、ささみ。離乳食を始めたころからの定番ばかりで、卵、乳製品、納豆、赤身の魚や肉はまだ入っていない献立です。9〜11か月なら、もっといろいろ食べている家庭も多いと思います。あえてこの献立にしたのは、「食べる量は増えたけれど、食材はあまり変わっていない」ときに何が起きるかを見たかったからです。

この献立だけだと、亜鉛は1日にとりたい量の7割半ほどとれますが、鉄は4分の1、カルシウムは3割弱、ビタミンDは1割半にとどまりました。
ここにミルクを足すと、どうなるでしょう。1日400mlなら、鉄・カルシウム・ビタミンDは1日にとりたい量にほぼ届きます。200mlだと、半分から7割です。ミルクが400mlから200mlに減る間に、鉄・カルシウム・ビタミンDの3〜4割分が、食事で埋めないかぎり消える計算になります。
ビタミンDは、魚の種類で決まる
同じ15gの魚でも、ビタミンDの量は種類でまったく違いました。たらとかれいでは10倍以上の差があり、鮭なら15gで1日にとりたい量をほぼまかなえます。しらす干しも、大さじ2〜3でミルク200ml分です。
ビタミンDは日光を浴びると皮膚でも作られるので、食事だけで考える栄養ではありません。ただ、魚の日に鮭やしらすが入ると、ミルクから減った分はかなり埋まる計算になります。
鉄は、食材を替えると倍になる
定番の献立でとれる鉄は、1日分を合わせてもミルク200ml分より少ない計算でした。白身魚やささみ、おかゆには、鉄がほとんど入っていないからです。
そこで、量は変えずに、真鯛をかつおに、ささみを牛の赤身に、キャベツを小松菜に替えて計算し直すと、1日の鉄はほぼ2倍になりました(図3)。亜鉛は、1日にとりたい量を超えます。

ほかの食材でいうと、納豆1パックでミルク200ml分の鉄の8割、卵黄1個で半分、おかゆやヨーグルトにきな粉を大さじ1かけると4分の1、という計算です。鶏レバーは鉄がとても多い食材ですが、ビタミンAも多く、15gで乳児の1日の上限の3倍を超えるため、この記事では置き換えの候補から外しました。
鉄のことは、昔の国の目安にも出てきます。1995年に国が示した離乳の目安(改定「離乳の基本」)には、離乳後期から鉄が不足しやすいので、料理に使う牛乳の代わりに育児用ミルクを使うよう工夫する、とすすめられていました。この工夫は2007年の手引きにも残っていましたが、今の2019年版にはありません。海外では、カナダの指針が、最初の離乳食に鉄の多い肉や、鉄を加えたシリアルをすすめています。おかゆから始める日本とは、鉄の扱いがずいぶん違います。
なお、母乳には鉄がごくわずかしか含まれていません。手引きにも、母乳で育てている場合は生後6か月の時点で鉄が不足しやすいという報告があること、ビタミンDの不足も指摘されていることが書かれています。
ミルクが減りきったあと、牛乳で同じ栄養はとれる?
少し先の話になりますが、ミルクが減りきった先はどうなるでしょう。1歳を過ぎると、ミルクの代わりに牛乳を飲む子が多いと思います。1995年の目安にも「1歳以降は牛乳またはミルクを1日300〜400ml」と、二つが並べて書かれていました。では、牛乳はミルクと同じ中身なのでしょうか。

カルシウムとたんぱく質は2倍以上に増える一方で、鉄は40分の1になり、ビタミンDは3分の1、ビタミンCとビタミンEも大きく減ります。牛乳は、ミルクの代わりというより、中身の違う飲み物です。ミルクが減っていく間に食事で埋めてきた鉄やビタミンDは、牛乳に替わったあとも、食事で受け持つことになります。
手引きでは、牛乳を飲み物として与えるのは、鉄が足りなくなって起こる貧血を防ぐために、1歳を過ぎてからが望ましいとされています。9か月ごろから使うフォローアップミルクは、鉄やカルシウムを多めにしたミルクですが、手引きでは、離乳食が順調に進んでいれば飲ませる必要はなく、鉄が足りなくなりそうなときなどに、医師に相談したうえで使うものとされています。
我が家では
我が家は生後半年くらいまで母乳で育てていて、半年を過ぎてからミルクに切り替えました。ミルクを作るのは夫の担当でしたが、娘は私からでないとミルクを飲まない子だったので、飲ませるのは私でした。離乳食を始めてからは、ミルクの量は少しずつ減っていきました。
ミルクが減っていく時期には、亜鉛や鉄が足りているのかが、我が家の心配ごとでした。今回計算してみると、亜鉛は定番の献立でも1日にとりたい量の7割半ほどがとれていて、思っていたより食事でまかなえる栄養でした。鉄のほうは、ミルクが受け持っていた分が大きく、食材を選ばないと追いつかない栄養でした。あのころの心配は、半分は当たっていて、半分は思っていたほどではなかったのかもしれません。
おわりに
計算してわかったのは、次のことです。ミルクが1日200ml減ると、鉄・カルシウム・ビタミンD・亜鉛が、それぞれ1日にとりたい量の4割近く減る。カルシウム、ビタミンD、亜鉛は、ヨーグルト1個、鮭ひと口、赤身の薄切り1枚くらいの量で置き換わる。鉄だけは、納豆や卵黄、赤身の肉や魚のように、食材を選ぶ必要がある。
1日にとりたい量は、国の資料でも、何日かを通した食事で見るための目安とされています。手引きには、離乳の完了は「母乳又は育児用ミルクを飲んでいない状態を意味するものではない」とも書かれています。毎食そろえるというより、鮭の日、ヨーグルトと納豆の日、というふうに何日かで眺めればいいのかな、と私は受け取っています。
この記事の数字は、食品に含まれる量の計算で、体に吸収される量や、子どもごとの食べる量の違いまではわかりません。顔色や食欲、体重の増え方などで気になることがあれば、乳幼児健診や小児科で相談してみてください。
この記事の数字について
粉ミルクは、国内で売られている育児用粉ミルク7品の栄養成分表示を200mlあたりに直し、7品の真ん中の値を使いました。食品の栄養は日本食品標準成分表(八訂)増補2023年、1日にとりたい量は日本人の食事摂取基準(2025年版)の9〜11か月の値(牛乳の比較だけ1〜2歳の値)です。献立は計算のための例で、量は授乳・離乳の支援ガイドの目安に合わせ、油や調味料、おやつは入れていません。割合の計算と作図はHagumieが行いました。
更新履歴
2026年10月18日:公開(データの確認日:2026年10月17日)
2026年10月19日:本文と図を全面的に書き直しました。使ったデータと計算の結果は変えていません。
参考文献
厚生労働省(2024)「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書(2025年3月25日 正誤表反映). https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_44138.html
文部科学省 科学技術・学術審議会 資源調査分科会(2023)日本食品標準成分表(八訂)増補2023年(2026年3月27日 正誤表公開). 食品の数値は「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」から引用. https://www.mext.go.jp/a_menu/syokuhinseibun/mext_00001.html
「授乳・離乳の支援ガイド」改定に関する研究会(2019)授乳・離乳の支援ガイド(2019年改定版). こども家庭庁ホームページ掲載. https://www.cfa.go.jp/policies/boshihoken/junyuu/
厚生労働省(2007)授乳・離乳の支援ガイド(3 離乳編). https://www.mhlw.go.jp/shingi/2007/03/dl/s0314-17c.pdf
厚生省児童家庭局母子保健課長通知(1995)改定「離乳の基本」. 独立行政法人福祉医療機構(WAM)掲載資料. https://www.wam.go.jp/gyoseiShiryou-files/documents/2006/18163/sankou1.pdf
Health Canada, Canadian Paediatric Society, Dietitians of Canada, Breastfeeding Committee for Canada. Nutrition for Healthy Term Infants: Recommendations from Six to 24 Months. https://www.canada.ca/en/health-canada/services/canada-food-guide/resources/infant-feeding/nutrition-healthy-term-infants-recommendations-birth-six-months/6-24-months.html
各メーカーの栄養成分表示:明治 ほほえみ/森永乳業 はぐくみ、E赤ちゃん/和光堂 はいはい/雪印メグミルク ぴゅあ/雪印ビーンスターク すこやかM1/江崎グリコ アイクレオ バランスミルク(いずれも2026年10月17日確認)


